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サブカルチャー

Northern Soul



Words by Liam Saunders

これまで、フレッドペリーファンの多くがこよなく愛するノーザンソウルのシーンを追ってきました。これは単なるリバイバルではありません。

Deptford Northern Soul Club(DNSC)のウィル・フット氏とルイス・ヘンダーソン氏は、イギリス随一のまさに一体的な空間を生み出している二人です。彼らが監修を手掛けるダンスフロアにひとたび足を踏み入れれば、従うべきルールもルーティンもありません。動きが一緒だったりばらばらだったり、シャッフルダンスで毎晩盛り上がっています。ぎりぎりのすれ違い、カップルのキス、素早い動きや急な切り替えを織り交ぜたダンスが入り乱れているかと思えば、動きがそろって一体となることも。力強いソウルのサウンド、重低音を響かせるホーン、アップテンポのストリングスに合わせて、時にはそれぞれに、時には動きをそろえて、誰もが体を揺らしています。

Image courtesy of Chloe Ackers
Image courtesy of Chloe Ackers

独自の夜を演出するDNSCのイベントで深夜まで踊り明かせば、今時のクラブともMIDIの打ち込み音楽ともまったく異なる体験を楽しめます。ハックニーにあるMoth ClubでのDNSCのイベントも、参加者の多くにとって、より深く意図なものを味わえる場だったようです。それはまさにソウルの本質ではないでしょうか。インタビューをした方たちの多くは、音楽好きばかりの家系で受け継がれてきたサウンドに独自の好みを加えている、世代をまたいだソウルファンであることがうかがえました。

Images courtesy of Jeanie Jean
Images courtesy of Jeanie Jean

イギリス全土に広がるソウルボーイとソウルガールに若い世代のニューウェーブが加わり、リバイバルを迎えているという声が聞かれます。しかし、これは単なるリバイバルではありません。ノーザンソウルに詳しい人はシーンが廃れたことはないと言うでしょうし、その裏付けも容易に得られるはずです。DNSCが7年を超えて成功を収めていることからも、それは明らかでしょう。70年代から現在に至るまで45回転盤を聴き続けてきた多くのレコードファンは、ノーザンソウルがTikTokで流行しているといううわさには無関心です。熱心なZ世代も確かにいます。ダンスに熱中している彼らには、前世紀の先達のようなぎこちなさはありません。おそらく、今の時代の若者たちの方が目立っていて、より格好良いことでしょう。そのオープンで率直なアプローチは、昔のソウルファンに少し似ているかもしれません。

Image courtesy of Chloe Ackers
Image courtesy of Chloe Ackers

DNSCのイベントの絶大な人気は、いつまでも時代遅れにならないものもあることを物語っています。ヴァリの歌声も、高速のブレイクビーツも、フレッドペリーシャツも、決して消えることはありません。それらは永久不滅のものです。時代を経て生き残るスタイルはあるものの、ソウルに揺るぎない定番というものはありません。なぜなら個性が尊重されているからです。そのことは、フット氏とヘンダーソン氏が企画するどのイベントでもはっきりと分かります。


Image courtesy of Jeanie Jean

私たちの取材で、彼らはしっかりとした音楽教育の重要性を強調していました。幼い頃から親友として育った二人は、その点を身に染みて理解しており、すべての始まりをよく覚えています。「子どもの頃、お互いの父親に連れられて、ハイドパークでのジェームス・ブラウンのライブに一緒に行ったことがあって。目の前の出来事をちゃんと理解していたかどうかは分かりませんが、何かが染み込んできたのは確かです。」ソウルの世界への入り口として、それ以上のものはないでしょう。彼らが一緒に過ごした子ども時代の他の思い出も、同じく有益な体験だったようです。 「いつも耳に残っていたのは、エラ・フィッツジェラルドの『Get Ready』でした。ラグをめくり上げて、床の上を靴下で滑っていたのを覚えています。最高でした。」


Image courtesy of Chloe Ackers

結局、そういうことなのでしょう。ルールも自意識も関係なく、ただ純粋かつ物理的に音楽を楽しむことが重要なのです。ヘンダーソン氏の父親のジュークボックスは今もDNSCに息づいており、パンクやポップスを超えて、ノーザンソウルの奥深くにつながっています。