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サブカルチャー

フレッドペリー × チャールズ・ジェフリー:100 Clubでパーティを開催

Words by Harald Smart
Photos by Matt Ford

第3弾にして最後となる、チャールズ・ジェフリー・ラバーボーイとのコラボレーションによるコレクションの発売を記念し、おなじみの100 Clubでイベントが開催されました。チャールズ・ジェフリーがキュレーションを手掛け、ラバーボーイならではのパーティとなりました。

ファッションと音楽の切っても切れない関係は、誰もが知るところです。20世紀以降に注目を集めてきたサブカルチャーはどれも、ファッションと音楽の実験的な組み合わせによって生まれるパワーに後押しされてきました。チャールズ・ジェフリーも、そうした効果的な組み合わせをよく理解している一人です。チャールズ・ジェフリー・ラバーボーイは、フレッドペリーとの新たなコラボレーションと同ブランドの音楽デビューを記念して水曜日の夜に開催されたライブで、会場となった100 Clubを席巻しました。

ラバーボーイにとって、イーストロンドンでクィアのクラブイベントを開催していた当初から、ファッションウィークのたびに新しいコレクションで印象的なレイヤードスタイルを発表している現在まで、音楽とサブカルチャーはDNAに刻まれてきたものです。それを思えば、ハイセンスなファッションに身を包んだ大勢のファンが100 Clubを埋め尽くし、踊ったり、はしゃいだり、あの赤い壁をバックに写真を撮ったりしている姿にも納得がいきます。

パーティは、レジェンドDJであるプリンセス・ジュリアのエネルギッシュなセットリストで幕を開け、オーディエンスを歓迎しました。70年代後半からロンドンのクラブシーンを支えてきた存在であり、健在ぶりを示しているジュリアは、チャールズをはじめとして、イギリス版『ル・ポールのドラァグ・レース』でジュリアへの賛辞を送ったビミニ・ボン・ブーラシュなど、熱心なファンに支持されています。そんなファンたちがブースを囲んで踊り、ゴージャスに着飾ったセクシーなダンサーたちがステージを占領する中、全身ラバーボーイでそろえたジュリアは、他の出演者に先立って会場を沸かせました。

ライブのトップバッターとなったDJ兼ボーカリストのEll Murphyもフレッドペリーとラバーボーイのコラボレーションアイテムをまとって登場し、オリジナル曲のほか、ドラムンベースの洗練されたトラックに合わせてフリースタイルのパフォーマンスを披露。オーディエンスは、サウスイーストロンドン出身のEllの秀逸なボーカルと、ノスタルジックなトラックに独特の現代的なサウンドを巧みに組み合わせたセットリストを楽しんでいました。その間、スタイリッシュな雰囲気をいっそう高めていたのが、ステージいっぱいに広がる巨大なスクリーンに映し出された、グリッチエフェクトを効かせた幻想的なビジュアルです。Ellは合間に、オーディエンスがポジティブなバイブスを感じていることを確かめるように、素晴らしい音楽や一体感をただ楽しもうと語り掛けていました。

その後、ヘッドライナーが登場するまでのオーディオビジュアルとして、チャールズ・ジェフリー・ラバーボーイによるデビューシングルのMVが流れました。そのシングル「Take Me There」は、チャールズと、アーティストのRobert Fox、シンガーソングライターのFi McCluskey、カルト的インディーズバンドであるザ・ホラーズの元メンバーTom Furseとのコラボレーションによって完成した楽曲です。スコットランド出身の漫画家ジョン・バーンの作品にインスパイアされており、空中都市に住むキャラクターたちを題材に、社会階級にまつわる寓話的な物語の一部を表現したものです(物語全体は近日発売されるアルバムに収録される予定)。また、ラバーボーイとフレッドペリーのコラボレーションで実現したMVは、物語のキャラクターたち(コレクションのアイテムを着用)によるシュールな世界観を描いており、チャールズも異次元への入り口を見つける掃除業者として出演しています。印象的なダンスの動きは、ラバーボーイの振り付け担当レジデントディレクターであるケイト・コインによるもので、MVでは本人が、目を見張る動きで体を曲げるダンサーを相手に厳しい指導をしています。

オーディエンスを熱狂させたMVの興奮も冷めやらぬ中、ヘッドライナーのNimmoが登場しました。Nimmoは、親友同士であるSarah NimmoとReva Gauntlettが結成し、シンセサイザーによる個性的かつキャッチーなヘビーエレクトロトラックで知られるようになった2人組ユニットです。やはりラバーボーイに身を包んでステージに上がった2人は、ボーカルとシンセサイザーを組み合わせてパワフルなシナジーを発揮し、会場を熱気で満たしました。鳥肌が立つほど完璧なボーカルのハーモニー、ところどころでシンセポップの先駆者であるブロンスキ・ビートを彷彿とさせる力強さ。2人のボーカルに、耳に残るトラックと、オーディエンスを魅了する存在感が重なり、五感で味わう没入的な体験がもたらされます。

クライマックスに向けて、「チャールズ・ジェフリーっぽく、少しエモい曲を」と告げ、ギターを手にして印象的なアコースティックバラードを弾き始めたSarah。再び奏でられる2人のハーモニーが会場を優しく包み込み、エモリバイバルはまだ終わっていないことを感じさせられました。そんな穏やかなひとときはあっという間に終わり、がらりと雰囲気を変えてNimmoの2021年のヒット曲「OnlyL」が流れると、会場のボルテージは最高潮に。Nimmoもそれに応え、2000年代のクラブミュージックをカバーした「Touch Me」を最後に歌い上げます。それはノスタルジックな音楽に彩られた夜の締めくくりにぴったりの選曲でした。その後バトンタッチしたDJのMarie Malarieは、De’Lacyの「Hideaway」といった90年代の定番曲など、ヘビーなレイトナイトハウスをプレイしていました。

まさにラバーボーイならではのパーティとなった水曜の夜でした。次回もお楽しみに!