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サブカルチャーライブ

中国のサブカルチャー拠点

2021年9月
Photos by Menny He, Ricky and TylerQDurden

10億人以上の人口と世界有数の大都市を抱える中国。この国は、個性的で成長中の音楽のサブカルチャーの宝庫でもあります。しかしこの事実は、世界的にはあまり知られていません。この夏、フレッドペリーは中国の主要3都市を訪れ、ローカルの音楽シーンに精通したキーパーソンに、イチオシのバーやライブハウス、レコードショップを案内してもらいました。

Shanghai
Sophiaはレコードショップ『Uptown Records』の共同オーナー。このショップは、上海の平武路(Ping Wu Road)がアンダーグラウンドな音楽文化の発信地となるきっかけとなりました。このエリアの特徴について、そして『Uptown Records』がオープンした2011年以降の街の変化と進化について話を伺いました。

Save Uptown’ Open Mic Night, held by Uptown Records

『Uptown Records』は、アンダーグランドな音楽文化をこのエリアにもたらしたそうですね。そうなった経緯を教えてください。
Sophia:2011年の初めには、『Uptown Records』の他に私が経営している『Disco Kitty』というヴィンテージショップがあっただけ。広々としたスペースがあったから、実験的なパンクのライブを開催する人が現れたり、たまに私たちもフリーマーケットをしたりするようになった。

そして2014年以降、このエリアではさまざまなアーティスト集団が流入し、アトリエが増えましたね。彼らはこの場所にどのような影響を及ぼしていますか?
似たような考えを持つ人たちの人口が増えたし、パワーもあると思う。最初の頃は、私と夫だけでイベントを開催していたので疲れたし、ここに大勢の人を集めるのもの苦労した。しかし今では、Basement 6のようなアーティストが入ってきて展覧会やパネルトークを行うようになったおかげで、このエリアはハブとなり、アーティストが長く滞在するようになった。

NTSラジオとよく一緒に仕事をしていますね。これはどうやって実現したのですか?
本店よりも少し小さいけれど、バーとライブスペースが併設された2号店の『Uptown RnB』をオープンしたことがきっかけ。China Social Clubというレコードレーベルを運営しながらDJをしているMattという友人がNTS上海で働き始め、イベントを行うためのスペースを探していた。Mattは『Uptown RnB』をNTSがスタジオ以外の場所で行うイベントに最適な場所だと思っていてくれて、実際にそれが行われるようになった。

Save Uptown’ Live, held by Uptown Records

Chengdu
四川省の南西部に位置する省都・成都のシーンについて、ソウルアーティストのMIA AIMにインタビュー。

Instagram: @miaaim1114

成都でミュージックカルチャーが活発なエリアはどこですか?
最初に行くべき場所は玉林路(Yu Lin Road)。ここは、ライブ演奏やアート展示のためのスペースがたくさんある。飲食店も充実していて、本当に楽しい。多様なライフスタイルが存在するエリアでもある。

一時期、Mintone Recordsから音楽をリリースしていましたが、同レーベルについて教えてもらえますか?
このレーベルは、暗黒時代を過ごしていた私にチャンスを与えてくれ、情熱に火をつけてくれた。私にとってとても大切な存在。成都のオルタナティブ・ヒップホップを世に広めたのは、彼らの功績だと思う。

Instagram: @mintonerecordsstore

成都のおすすめのバーやライブ会場は?
『Little Bar』。クールなバーで成都によくあるオールドスクールのバーに似た雰囲気が漂っている。多くのインディーズのエレクトロニックアーティストやロックバンドが初ライブを行った会場。おすすめですよ。

成都のミュージックシーンはどのように変化し、進化してきましたか?
数年前はEDMが盛んだったが、その後、トラップやR&Bを演奏するバーが増えた。今では、成都はトラップやヒップホップが盛り上がっている場所として知られている。

Beijing
中国国内で密かに話題になっている北京のロックシーン。ロックデュオ、LockerRoomのXiongとJOJOがこの街の魅力について語ってくれました。

Instagram: @zhaozhao900, @jojoadventure816

昨年LockerRoomを始めたそうですが、その経緯を教えてください。
Xiong Hua:もともとは別のバンドに所属していたのだけれど、ちょうどパンデミックだったので、当然ながらツアーに出ることはできなかった。冬を乗り切るために何か楽しいことをしようと思い、ふたりで一緒に音楽活動を始めることに。聴くとわかると思うけれど、結構軽いノリの曲ばかり。というのも、パンデミック中ということもあって観客の前で演奏することを考えずに、自宅で歌ったりギターを弾いたりしながら作曲したから。複雑なトラックではなく、家でリラックスしているという雰囲気を出したかった。

ライブを演奏したり観たりするのが好きな会場は?
Xiong Hua:『SCHOOL』は素晴らしい会場。ステージと観客の距離がとても近いので、観客との特別なつながりを持つことができる。文字通り、観客の中に入って演奏ができる。さらにライブ後も、朝まで飲みながらおしゃべりできるというメリットも。今ではこういう場所が少なくなってきているんだけれどね。

レコードはどこで買っていますか?
「Indie Music」。このレコードショップは私たちにとってとても重要な存在。中国のミュージックカルチャーを見事に表現している店。長年かけて美しく改装された店で、ずいぶん前から北京やそのほかの地域の多くの人々に音楽文化を広めてきた。私たちにとって、本当に大切な場所。