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コレクション

From the Archive: Over Land and Sea

フロム・ザ・アーカイブ:陸と海を越えて
2022年3月

このシリーズでは、「From the Archive」と題して、私たちの最も特別な作品と、それを最もよく着用した人物を検証していきます。今期は、フレッド自身がデザインした80年代のオリジナルセーリングジャケットを復活させました。

フレッド・ペリーの幼少期を語る上で欠かせないのが、小学生の頃にリバプールの波止場に立って、ベルギーのゼーブルージュから戻ってくる軍艦を眺めた日のことです。その時、彼は大型船で世界を探検したいと思いました。その願いは20年後、イギリスのアマチュアテニスチームの一員としてアメリカへ出航した時に叶えられました。

フレッドはテニスコート上でも、それ以外の場面でもつねに完璧でした。スタイリッシュなスポーツアイコンとして国際的な評価を得ており、『Esquire』誌でイギリスのベストドレッサーに選ばれたことも。旅先でも、できる限りスマートであることを心がけていました。彼は次のような言葉を残しています。「私は、自分の役割にふさわしく見られることが大切だと信じています。強いこだわりがあるのです」。スポーツの功績で大衆に偶像化されたフレッドは、世間の憧れの的や労働者階級の英雄となりました。またフレッドは、サッカー選手のジョージ・ベストやスヌーカー選手のアレックス・ヒギンズのような才能あふれる労働階級出身者たちのロールモデルとなりました。彼らはフレッドの背中を追い、プロスポーツ選手としての献身を通じて、最終的にスポーツ界における不滅の地位を獲得しました。

ブランドとして成功を収めた1970年代、フレッドペリーは光沢のあるカラーのパンフレットと力強い広告キャンペーンを打ち出し、レジャーウェアとして世界的な名声を確固たるものにしました。ブランド設立から20年間で、フレッドはアスリートのための実用的なスポーツウェアを、ファッションに敏感な世界中の消費者にアピールするスタイリシュでモダンなイメージへと変貌させたのです。

フレッドの旅と探検への愛に触発されたフレッドペリーの「マリーンクラブ・コレクション」は、80年代初頭に発表されました。カラーコーディネートされた軽量のレインコートやウィンドブレーカーは、海辺で着るだけでなく都会での生活にも使えるようにデザインされています。夏はもちろんのこと、「雨で試合中止」の際にもさっと羽織れば完璧なスタイリングが完成します。

フレッドの自叙伝の最終章のタイトルは「The World, My Oyster(世界は私の思いのまま)」。これは彼の冒険心そのものをうまく要約しています。最近リデザインされ、フレッドペリーのアウターウェアのコレクションに追加されたフロントジップのウィンドブレーカー・セーリングジャケット。このクラシックなアイテムには、スタイリッシュな着こなしで世界中を旅したフレッドのレガシーが反映されています。リデザイン版は、現代のメンズウェアに合うようにアレンジされ、よりスリムなテーラードシルエットでカットされています。どのアイテムでもそうですが、特にアウターウェアでは、ディテールが重要なポイント。また、現代のスポーツウェアに不可欠なフォルムと機能というふたつの要素がシームレスに統合されています。ヴィンテージウェアに新たなひねりを加え、陸でも海でも、水平線の向こうのどんな場所でも活躍する理想的なジャケットに仕上がっています。