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THE FRED PERRY

エイミー・ワインハウスを称える写真展覧会「Before Frank」

2023年12月
Amy photography by Charles Moriarty

エイミー・ワインハウスのデビューアルバム『Frank』の発売から20周年を記念して、写真家のチャールズ・モリアーティがBehind The Galleryと協力し、展覧会を開催しました。撮影された写真は、打ち解けた雰囲気で音楽界の真のアイコンの姿を捉えています。

展示されている写真は、ロンドンとニューヨークにおいて2回にわたり短期間で撮影されたものです。それらは、歴史の1ページを切り取ったものであるだけでなく、一人の類まれなるアーティストの卓越した精神に対するオマージュでもあります。

「Before Frank」は単なる展覧会ではなく、エイミー・ワインハウスによる不朽の名作へのトリビュートであり、その歴史の舞台裏へとシドニーとメルボルンの人々を誘っています。

川後に世界で愛される偉大なアーティストとなった女性の、キャリア初期の飾らない姿を思い出させる写真の数々。メルボルンに向かいチャールズ・モリアーティを訪ねた私たちは、今なおエイミーが与え続けている影響を見て取ることができました。

今回の展覧会は何に着想を得たものでしょうか?
これらの写真は、『Before FRANK』という写真集の中で発表されたもので、いくぶんドキュメンタリーに合わせたものでもありました。その写真が、エイミーの印象として人々の心に残るものになってほしくはなかったんです。忘れ難いものでしたから。エイミーのデビューから、そして僕自身にとってもいろいろな意味で、20周年を迎える今こそ、ここオーストラリアで展覧会を開くのにふさわしいタイミングだと思いました。

撮影プランはどのようなものだったのですか?
エイミーを中心に据えて、写真の中で彼女を映し出すストーリーを語ろうとしていました。僕は芸術史を学んでいて、大の映画好きでもあったので、写真を一つにつなげるナラティブを求めていました。結局は、ロケーションとスケジュールがかみ合わなかったので、使えるものは手当たり次第に何でも使いました。ロンドンでの撮影がニューヨークでの撮影になり、それから夏の嵐がやってきて、本当に大変でした。何もかもがうまくいかなかった撮影でしたが、奇跡は得てしてそういう時に起こるものです。

撮影当時、あなたとエイミーは何歳でしたか?
エイミーが19歳、僕は21歳でした。

ナ写真に収められた当時の彼女はどのような存在でしたか?
にぎやかで、知的で、面白くて、不安定で、ものすごく才能にあふれていました。

この写真について、エイミーと過ごした時間について少し聞かせてもらえますか?
カーラーを付けたエイミーの写真は、ニューヨークでとてもひどい夏の嵐が何日間も続いて、撮影現場が使えなくなった時に撮ったものです。予定がすべて白紙になってしまい、僕たちは座って話しながら彼女のデモテープを聴いていました。最終的に、とにかく写真を撮り始めなくてはと決心して、その最初の一枚がこれです。いろいろな意味でユニークな写真ですね。エイミーはとてもリラックスしていて、ありのままの姿を見せています。僕に心を開いてくれていました。
当時、エイミーは自己表現に自信が持てずにいました。少女としてのエイミーと、人気上昇中のスターとしてのエイミーの間で、微妙なバランスを取っていたんです。 この撮影で初めてビーハイブヘアにして、それが後に彼女のトレードマークになりました。

展覧会のために写真のキュレーションをしている中で、思い出がよみがえってきましたか?
写真は、思い出を鮮明に保ってくれます。彼女のあの目が自分を見ていたのを忘れてしまうことがあるのですが。僕たちにとって特別なひとときでした。僕にとっては写真家としてのキャリアの始まりでしたし、エイミーはやがて世界を席巻することになりましたから。

エイミー・ワインハウスのお気に入りの曲はありますか?
絞るのは難しいですね。どちらのアルバムにも好きな曲がたくさんあるので。「Love Is A Losing Game」を聴くと、いつも胸が張り裂けそうになります。でも、「Brother」、「October Song」、「Fuck Me Pumps」も同じくらい好きです。

撮影当時、あなたとエイミーはいずれもキャリアの初期にありましたが、この時の経験から得た最も大きな教訓は何ですか?
物事がうまくいかない時、どのように方向転換するかを考えることです。そして自分を信じることですね。解決策は必ず見つかります。考え方を変えればいいだけなんです。

今回の展覧会で特に好きな写真はどれですか?
その時々によって変わりますが、アルバムのカバー写真が壁に掛かっているのを見るのはうれしいですね。展示されたのは今回が初めてなので。コレクションには少女としてのエイミーとスターとしてのエイミーが混在していますが、この写真は少女の素顔のエイミーを映し出しています。

プロフェッショナルとしてどのようにエイミーと関係を築いたのですか?
ある程度の信頼はありましたし、やるしかないという意欲もありました。まだ写真家でも業界人でもありませんでしたが、エイミーと会ったその日にイーストロンドンで最初の撮影をしました。その後、いったんエイミーの家でくつろいでから、彼女のパフォーマンスを観ました。ニューヨークで撮影する頃には打ち解けていましたし、本当の姿を写真に収めてほしいと望んでいるのを僕が理解していることを彼女は分かっていました。僕には彼女の本当の姿が見えているということを分かってくれていたのです。