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勝手にしやがれ!!

サブカルチャー

Never Mind the
Bollocks – here’s
Nottingham!

勝手にしやがれ!!

Photograph by Stephen Cassidy, Museum of Youth Culture
Words by James Anderson
2020年6月

70年代後半、ある奇妙な訴訟事件によってノッティンガムはUKパンク・シーンの台風の目と化し、セックス・ピストルズの悪名と成功に永遠に結び付けて語られることになった。

セックス・ピストルズがオリジナルパンクのショック・トルーパーとして名を馳せた時期は長くはなかったが、ロンドン生まれのこのバンドは、とことんファック・ユー的アティテュードとアナーキーな楽曲、ワイルドなギグ、イカした髪型と服装、そして言うまでもなく大部分の大人から大いに反感を買った一連のスキャンダルで、疎外されたティーンエイジャーたちに大きな刺激を与えた。どんなスキャンダルかって? まず手始めに1976年12月にゴールデンタイムのTV番組に出演して悪態を連発し、翌日、憤慨した多数のタブロイド紙の見出しを飾るという出来事があった。地方自治体がライブ会場に予約をキャンセルするよう圧力をかけたため、全国各地で彼らの公演が禁止になった。1977年、英女王陛下の即位25周年の公式祝典に湧く中、「God Save The Queen」がリリースされると、このシングルはあまりに侮辱的とみなされ、イギリス全土でラジオやTVでの放送を禁じられたが、それでも全英チャート2位になった(音楽業界の内々の結託により1位の座を与えられなかったという話もある)。

同年10月には、デビューアルバム『勝手にしやがれ!!』がリチャード・ブランソン率いるヴァージン・レコードからリリースされ、大騒ぎになりました。一部のハイソなレコード店はこのアルバムの仕入れを拒否し、陳列しない店もあった。彼らは「Bollocks(スラングで「睾丸」)」という言葉が大衆のモラルを過度に脅かすものと考えたのだ。対照的に英国各地のヴァージン・レコード店のウィンドウには、ジェイミー・リードがデザインした派手なアルバムジャケットのアートワークをリスペクトしたプロモーション用の巨大なポスターがアルバムと一緒に飾られていました。すると警察が店に現れ、これらを取り除くようきつく言い渡すとともに、1899年のわいせつ広告法という時代遅れな法規に基づいてわいせつ罪で起訴すると脅しました。

Photograph by Peter Anderson, Museum of Youth Culture

 ヴァージン・レコードの店舗の多くは大人しくこの警告に従ったが、ノッティンガムのキング・ストリートの店舗は、アート表現の自由を守るため、断固としてパンクな姿勢を取りました。面白くない地元警察は店のマネージャーのChris Searleに対し、キング・ストリートのウィンドウから挑発的に睨みつけている32枚のアルバムを撤去するよう、4回にわたって警告しました。しかしSearleは頑なに拒否したため、11月初頭に逮捕されました。ブランソンが弁護費用を請け負うと申し出、英国で最も名高い法廷弁護士であるジョン・モーティマーにSearleの弁護を依頼しました。

11月24日にノッティンガム司法裁判所で行われた裁判には、ブランソン、弁護団、セックス・ピストルズのフロントマンであるジョニー・ロットンが出席しました(ロットンはタバコに火を点けたため建物から追い出された!)。検察側は、何としてもSearle、バンド、ヴァージン・レコードを槍玉に上げて有罪にしようとしたが、計画通りには進みませんでした。モーティマーは天才的な法的手段で、ノッティンガム大学の英語学部長のジェームズ・キンズリー教授を弁護団に迎え入れました。キンズリー教授は、「Bollocks」は歴史的には「聖職者」から「ナンセンス」、「石」など全く害のない意味合いを持つ古い英単語であり、よってわいせつとは定義できないと巧みに主張しました。この議論しがたい証言を聞いた裁判長より、次のような不本意な結論と共に判決が下されました。「あなた方が商業的な利益のために、人間の卑しい本能を利用したことを私や多くの同僚は心底軽蔑しているが、不本意ながら今回の裁判に関しては無罪とせざるを得ない。」

Photograph by Gavin Watson, Museum of Youth Culture

勝利の判決はすぐさま、ノッティンガム・イブニング・ポストを含む全国の新聞を飾りました。そして良くも悪くもこの事件が大きな宣伝効果になってバンドを取り巻く悪評に拍車をかけ、『勝手にしやがれ!!』は全英アルバムチャートで1位を獲得しました。