Twitter Line Facebook Share
ネイディーン・シャー、100 Clubでライブを行う

サブカルチャーライブ

Nadine Shah,
Live at the 100 Club

ネイディーン・シャー、100 Clubでライブを行う

2021年8月
Words by Dani Ran
Video by Chazz Adnitt

こんにちは!お久しぶりですね。昨晩、フレッドペリー主催のサブカルチャーイベントがロンドン各地のホットな会場で開催されました。フレッシュで、エネルギーあふれる躍動感に満ちたライブアーティストのためのイベントです。

約18ヶ月の異常事態を経て日常が戻ってきましたが、元の生活に戻るのはなかなか大変なことだと思います。私たちは皆、ちょっとした日常を求めているだけなのに、まだ全てがぱっとしない感じがします。そんな中、心の隙間を埋めてくれるのが音楽です。ひとときの休止期間を経て、フレッドペリーは音楽シーンの最先端を行く2人のアーティストとともに定番のアンダーグラウンドな会場でライブパフォーマンスを開催しました。ライブ音楽が聞こえてこない中過ごした過去18ヶ月を総括するのは難しいことですが、昨夜のライブには、カルト的な人気を持つアーティストの優しい歌声に包まれながら、ビール片手に新たな絆を築く観客の姿がありました。

ショーの火蓋を切ったのは、この上なくストイックかつ強い魅力を放つシネイド・オブライエンです。荒削りなロックバンドをバックに、観客をステージに招いてリラックスしすぎない程度に話に聞き入るなど、時折親密で私的に感じる詩の朗読で集まった人々を魅了しました。バックバンドがオブライエンと観客を取り囲むように築いた音の壁の中で、彼女の歌が語り掛ける日常の退屈と不条理は真剣に聞き入る観客の心を捉えました。また、ファンお気に入りの「A Thing You Call Joy」や「Most Modern Painting」といった楽曲ではポスト・パンクを感じさせるリフが観客のボルテージをあげるとともに、ヘッドライナーであるネイディーン・シャーの登場を前に、観客の熱気を作り上げました。

シネイド・オブライエンが強烈な余韻を残したまま去ったあとは、ネイディーン・シャーがステージを調和。熟練バンドの演奏をバックに天に昇るようなソウルフルな歌声と躍動感あふれるロカビリースタイルのリフを披露するシャーは、100 Clubを彼女のプライベート空間へと変貌させまます。他のアーティスト同様、昨年シャーは新しいアルバムをリリースしましたが、ご存知のように、新型コロナウイルスの感染拡大によりライブでのファンへの新曲披露はできずにいました。さらに、ロックダウン中、新作アルバム(Kitchen Sink)が高評価と批評家からの賞賛を得たことで、ファンのみならずシャー自身の期待も最高潮に達していました。待ちに待った昨夜のライブでシャーは、ついに、定番の楽曲とともにKitchen Sinkからファンお気に入りの楽曲を親密な雰囲気の中で歌い上げます。躍動感あふれるパフォーマンスを繰り広げるシャーは、飢えたライオンのようにステージ上を動きまわりながら、気合のこもった歌唱とともに力強いフェミニストらしい歌詞をぶつけてきました。

時折ウインクを投げかけながらも、どこか困惑した表情で熱狂する観客を見つめるシャーは、温かいけれどもどこか冷ややかで、親近感がありながら距離を感じさせていました。シャーとバックバンドがどれだけの時間と労力を掛けて究極の音を追求してきたかを見せつけられたのは、6 Musicがヘビーローテーションする「Club Cougar」に加えてKitchen Sinkのリードトラックが演奏された時。2つの金管楽器を率いるバンドの演奏から伝わってきたのは、耳だけでなく心で音楽を聴いてほしいというメッセージです。

唸るようなボーカルと刺激的歌詞と同じように、シャーのウィットとチャームは、まさに彼女だけのもの。個人的・政治的両方のメッセージが込められた切実な訴えを投げかけるなか、演奏の合間にはジョークで観客を和ませるのも忘れません。共感を呼ぶパフォーマンスを繰り広げる真のエンターテイナー・シャーは、私たちに新たな可能性を見せてくれるとともに、これからも想像を超えた進化をとげていきます。

昨夜のサブカルチャーライブは、これから次々と開かれることとなる親密なライブ音楽イベントの復活に明確な道筋を示すものとなりました。