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マンチェスターより、愛をこめて – パート2

サブカルチャー

From Manchester,
with love - part two

マンチェスターより、愛をこめて – パート2

2021年6月
Words by Neil Summers
Photography by Darren Lennon

マンチェスターにフレッドペリーの新しいショップがオープンするにあたり、地元のミュージシャンとビジネスオーナーの3人にノーザンクォーターの魅力のすべてと、この緊密なコミュニティがかくも特別なものである理由を語ってもらいました。

Gina Breeze(DJ & プロデューサー)

あなたの音楽歴を紹介してください。
リーズのSpeedQueenでレジデントDJになったのが始まりだったの。自分の音楽を作りたいことはわかっていたんだけど、どうすればいいのか検討がつかなかった。やがてマッシュアップやエディットをやり始めて、Logicの使い方や機能を一生懸命覚えたのね。そして2015年、ニューヨークのGet Up Recordings から最初の作品をリリースした。その頃にはマンチェスターに住んでHomoElectricでプレイして、アーティストとしての自信もついてきたの。SpeedQueenやHomoElectricみたいなところのクラブナイトでプレイできたのはラッキーだったと思うわ、どちらもレジデントDJがパーティーの核だから。大物ヘッドライナーに頼るのでなくね。レジデントDJはオーディエンスを詳しく知っていて、オーディエンスから信頼されてるのよ。これまでリリースした中で1番売れたのはおそらく、Luke Solomon / Derrick CarterのClassic Music Companyから出した1枚ね。あの 「After Dark EP」は私の作品中で最高の音楽だと思う……だった、と言うべきかな。最近はSprechenのようなマンチェスターのレコードレーベルと手を組んで出来るだけコラボレーションを心がけてるの。Crazy Pの名ヴォーカリスト、Danielle Moore のオリジナル・ヴォーカル入りトラックを作ったりしてる。

「マンチェスター」と「音楽」という言葉を聞いて、まず思い浮かぶものは?
「マンチェスター」と言われたら、まず音楽を、雰囲気を連想する。10年前に引っ越してくるより前からずっと、この街が好きだったの。マンチェスターには疑う余地のない一種のフィーリングがあって、人は温かいし、本物のコミュニティと勤勉の精神、一体感、人生への情熱がある。こうしたものはすべて音楽やアートに対する愛情と、創造力の限界を押し広げようとする熱意をめぐって存在しているの。

これまでにマンチェスターで観た最高のライブは?
まずはPiccadilly Records、Eastern Bloc、Vinyl Exchangeのような、言わずと知れた店。それからClampdown Recordsでも何枚か、格安の掘り出し物をみつけたわね。ノーザンクォーターは実によりどりみどり。レコ-ド買いは別として、週末のノーザンクォーターは最高のDJ陣が観られるチャンスがあるのよ。Cottonopolisはローカルシーンの目玉を定期的に 出してる。Ducie Street Warehouseはすごくお洒落な会場で、レイドバックしたノリを流してるし。あと、ノーザンクォーターのちょっと外なんだけど絶対コメントしておきたいのがFreight Island。ぜひ足を伸ばしてみて、雰囲気も音楽も最高だから。DJとライブアクトを取り混ぜて、地元アーティストをヘビーローテーションで出してるの。

フレッドペリーが新しくノーザンクォーターにオープンしたショップについて、どう思いますか?
ノーザンクォーターは、フレッドペリーのショップにはぴったり。ここのところリテールの閉店続きだったから、このオープニングはブランドにとってすごくポジティブでパワフルな選択だと思うの。私、初めてマンチェスターまで出て来たときにAffleck’s Palaceに行ったのね。ヨークシャーのバーンズリー出身なんだけど、あそこにはこの街にあるようなものはまったく何もない。だからファッション、バンドTシャツ、ゴス、ヴィンテージと、目を見張ったわ。音楽とファッションはまさにノーザンクォーターの心臓部だから、今度の場所はフレッドペリーにとてもお似合いだと思うな。

ジーナのプレイリストを聞く

Ladi Kazeem(バンドのヴィンテージグッズ販売人)

「マンチェスター」と「音楽」という言葉を聞いて、まず思い浮かぶものは?
マッドチェスター

マンチェスターはあなたの音楽歴にどんな役割を果たしてきましたか?
僕のビジネスはマンチェスターのノーザンクォーターにあるStevenson square で生まれたし、仕事の中心にあるのが音楽だから、答えは「すべて」だよ。日常的に聴いてるバンドから、販売してるマーチャンダイズ商品まで含めてね。僕は一応、この世界ではオリジナルのバンドTシャツや音楽関係の記念品などを掘り出すことにかけては世界的に知られているんだけど、掘り出し物の大半が80年代、90年代のマンチェスターのバンド関連なんだ。ストーン・ローゼズ、オアシス、ジョイ・ディヴィジョン/ニュー・オーダー、ハッピー・マンデーズとかね。世界を回って掘り出し物を売ったり展示したりしてきたけど、僕のブランドが原因で、マンチェスター関連のヴィンテージコレクターが大勢存在するんだよ。

これまでにマンチェスターで観た最高のライブは?
沢山あるなあ。14才の時、家族で親しくしてた人達と一緒にApolloでイアン・ブラウンを観たんだよね。当時、イアンはソロ・キャリアのピークだったと思う。『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』 に10秒ほど出てたのを観たのがきっかけで、母親に初めてイアンのライブを観に行かせてもらったんだ。あの頃、僕は彼の音楽に夢中でね。それ以来、何回も彼のライブを観られてラッキーだと思ってる。

マンチェスターの音楽シーンにおけるノーザンクォーターの重要性とは?
ものすごく重要。巨大な会場を除けば、他にライブ・ミュージックが聞こえてくる場所はノーザンクォーター以外にないだろ。Market Streetの喧噪から離れた1つの区画にいろんなものが集中して、実に多彩なシーンや文化が混ざってる。そして社会の機能不全やこの街の工業と労働者階級のルーツから、豊かなクリエイティビティが生まれているんだ。

ラディのプレイリストを聴く

Eva Bee(ミュージシャン)

「マンチェスター」と「音楽」という言葉を聞いて、まず思い浮かぶものは?
制限がない、っていうこと。他人の言うことなんかこれっぽっちも気にしない態度と、そこにある情熱を思い出すわ。それから高速道路の下で開かれるレイヴと、うちの母がキッチンで流してた曲と。そして後にも先にもここにしかない、コミュニティとスピリットとつながりが思い浮かぶわね。

マンチェスターはあなたの音楽歴にどんな役割を果たしてきましたか?
マンチェスターは私を受け入れてくれたの。感じていることを何でも表現したいっていう、同じ野心を持った家族のような人たちに出会えた。ものすごくクリエイティビティに溢れた街で、クリエイティブな人間同士が常に引き付け合ってる感じがする。その理由が楽しいパーティーであってもカッコいい音楽であっても。私の音楽をサポートしてくれる人達が必ずいて、それは歌の中でいつも何かしらマンチェスターを題材にしていたり、自分の日常を歌ったりしているからじゃないかと思うんだけど。たぶん、そういうのを気に入ってくれるんだと思うわ。年上の人達からそういう印象を受けるの、どこへ行っても。いつでも私や他の新人アーティスト達の面倒を見てくれる人達がいて、とても恵まれてると思う。この伝統はとても貴重よ。

マンチェスターがこんなにも多くの素晴らしいミュージシャンを輩出しインスピレーションを与えてきたのは、なぜだと思う?
そりゃもう、水に何か入ってるんじゃない?きっと70年代に大量のドラッグを運河に落とした人がいて、以来みんなぶっ飛んじゃったのよ。特別な街だもの。荒削りなところや押しの強さがあるし、ちょっとカリスマ性もあって、マジでカッコいい人達がただ偉そうな口を利くんじゃなくマンチェスター人としての誇りをどこにでも持っていく。この街の人は昔から苦労してきたし、ぼろ儲けの機会なんてものは存在しなくて、それが逆にパワーの源になってる……いつでも事件や生々しい出来事が起きているから、感じること考えることがそのまま音楽になるのよ。特定の枠組みもないし、熾烈な競争なんて誰もしたがらないし、ただみんな、カッコいいアートを生み出して盛り上がってるの。

マンチェスターの音楽シーンにおけるノーザンクォーターの重要性とは?
さっきも言ったように、この街ではクリエイティブな人達が自然に引き寄せられるし、私に言わせればノーザンクォーターは昔からそのクリエイティビティのハブなのね。バーでもクラブでも、あるいはEastern Bloc の外に座って日を浴びながらビールを1、2杯やってるときでも、必ず誰かしらに出会ってコラボレーションすることになるんだから。この街は自分達のものだから守らなきゃってみんな思ってる。とにかく私は思ってるわ。最近はものすごく沢山のクールなライブハウスやバーが閉店してしまって。この街にはもっと文化への投資を増やしてほしい。行儀の悪いお客でいっぱいの、気取ったコーヒーショップを増やすばかりじゃなくね。

ノーザンクォーターで新しい音楽に出会えるベスト・スポットは?
Eastern Blocは最高よ、いつも素晴らしいセレクションだし、時々イベントもやってる。屋外にバー付きのちょっとした着席エリアがあって、ここがとてもいいの。早い時間のライブが観たいなら、Band on the Wallの Inner City Waves がおすすめ。地元の新進ミュージシャンが観られるわ。Kraak Galleryはビールが安いし、Night & Dayはそりゃもう最高、それからThe Castleも。終電を逃したらSoup KitchenかMint Loungeに行って朝まで過ごすといい。何かしら気に入ったものに出会えると思うわよ。最近見つけたのがWilson’sの地下で、すごく粋な1920代風のスペースなの。

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