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Hamburg Ahoi!

ショップ

Hamburg Ahoi!

ハンブルグ、アホイ!

2021年6月
Words by Birgit Reuther

ハンブルクでの店舗オープンを記念して、新規開拓地であるシャンツェンフィアテル(Schanzenviertel)を散策し、そのサブカルチャー的な重要性を探ります。

ハンブルク。音楽好きな人がこの名前を聞くと、ビートルズ、Star-Club、St. Pauliが真っ先に思い浮かぶことかと思います。しかし、有名なナイトライフや湾岸地区から少し歩いたところには、サブカルチャー、ライフスタイル、ショッピング、料理、そしてもちろん音楽シーンが融合した活気ある地域が広がっています。

シャンツェンフィアテル(Schanzenviertel)、略して 「シャンツェ(Schanze)」では、常にある種の喧騒的なセンセーションを感じることができます。プロテストカルチャーとネクストハイプの出会い。地元のクリエイティブなアーティストたちと街の外から来たパーティ好きの人々が一緒になって通りに溢れています。今でも多くの通りでかつての労働者地区の荒削りな雰囲気を感じることができます。しかし、シャンツェ(Schanze)はこの数十年で大きな変貌を遂げました。今では政治的で快楽主義的、多国籍かつ論争の的となるような、繊細でおしゃれな雰囲気が漂っています。シャンツェンフィアテル(Schanzenviertel)と最も対照的な雰囲気を持つのがSchulterblattです。この通りの片側にはRote Floraが第二の要塞としてそびえ立っています。そしてその向かい側に広がるカフェやバーの前は都会のフラヌール(散歩好き)たちがお互いに顔を見せる溜まり場となっています。Rote Flora(かつてのバラエティー劇場と映画館、現在は左翼の自治センター)の裏側に位置する公園には、Kilimanschanzoという非常に変わった建物もあります。この高層ビルは1980年代からグラフィティシーンのアーティストたちの集会所となっており、彼らの作品は今日までこの地区を形作ってきました。Oz、getting-up、Davis One、Pushなどのクルーやアーティストたちの活躍は、時を超えてサブカルチャーが都市空間を支配してきたということを身をもって体現しています。エッジの効いたものから繊細なものまで、道行く人によって生み出される多彩なストリートスタイルで溢れるシャンツェ(Schanze)は、刺激的で楽しく想像をかき立てる屋外ギャラリーとなっています。

そして何よりも、この地区のDNAには昔も今も音楽が欠かせません。コンサートやDJセット、オタクのホットスポットやシーンのたまり場などをあらゆる場所で見つけることができます。Sternbrückenという通り名で呼ばれるAstra Stube、Fundbureau、Waagenbauのクラブ群は鉄道線路の下に位置しており、迷路のように入り組んだ店内ではヒップホップ、インディーロック、エレクトロなどのレアで革新的な音楽が流れています。これらの3つの会場は最近共同でSchroedinger at Schanzenparkを設立しました。これは旧テレビ塔の足元に広がるライブ音楽用の屋外エリアで、絵画のような美しさもさることながら日中はホームレスへの食料配給も行っています。また、SchulterblattにあるHaus 73は、パーティーや映画、クラフトビールのテイスティングなど各種ポップカルチャーの溜まり場のような役割を果たす一方で、煙に包まれたミュージックバーMutterでは、人生、音楽、そしてその間に存在するものについて語り合うアーティストたちに遭遇することもできます。

シャンツェンフィアテル(Schanzenviertel)の労働者階級から文化人階級への移行は、特に地下鉄の駅であるFeldstraßeの反対側で顕著に見られます。パンクからフォーク、ロックからソウル、エレクトロニックからヒップホップまで、地元のシーンと強いつながりを持つ音楽クラブ「Knust」は、2003年に食肉処理場を改装して設立されました。レンガ造りのホールの前に広がる木造りの広場からは、地元のサッカークラブFC St.Pauliの試合の放送時に決まって「You’ll Never Walk Alone」の合唱が聞こえてきます。Knustの周辺はハンブルグのポップカルチャー・サブカルチャーシーンの真の「るつぼ」と言えるでしょう。レーベル、プロデューサー、アーティスト、予約・広告代理店は、広場を挟んで向かい側にあるKarostar Musikhausで活動しています。数歩先にあるレコード店Hanseplatte、Zardoz、Groove Cityでは、洗練されたセレクションと店員との通な会話を楽しむことができます。また、見逃せないのが近くにある高層ビルです。夜遊びを楽しみたいという人はエレベーターの先にある音楽クラブ「Uebel & Gefährlich」で前衛音楽からポップスまでのコンサートを楽しむことができます。

シャンツェンフィアテル(Schanzenviertel)を探索した後にノスタルジックな気分から醒めないという場合は、60年代にビートルズがハンブルクで演奏するたびに宿泊していたホテル・パシフィックの周りを散策することもできます。近くに位置するNeuer Pferdemarktは、メンバーが女性だけで構成されたロックンロールバンドの先駆けであるLiverbirdsなど、多くのミュージシャンの滞在先となった地区です。

急成長するアートシーンからアンダーグラウンドな音楽会場まで、ハンブルクは昔も今もサブカルチャーの醸成地であるとともにそれらのたまり場でもあるのです。