リストバンド:フレッド・ペリーのワイルドカード

テニス

The Sweatband:
Fred Perry’s
Wild-Card

リストバンド:フレッド・ペリーのワイルドカード

2019年9月

フレッドの何気ないリストバンドのアイデアから、不朽の英国アパレルブランドが生まれるまで。

「私は現実主義者だ。自分の名がウィンブルドンで3回優勝したことよりも、シャツやスポーツウェアで世界中に知られていることを、何のためらいもなく認めてきた」フレッド・ペリー、1984年

英国人テニス選手として唯一キャリア・グランドスラムを達成したフレッド・ペリー。しかし、その名はアパレルブランドとしての印象の方が強いでしょう。あまり知られていないことですが、フレッドが初めて世に送り出したテニス用品は、おなじみのポロシャツではなく、控えめなリストバンドでした。

スポーツウェアのパンフレットでのフレッド(1952年前半)

1940年代後半、ウィンブルドンで3年連続優勝を果たしてから10年以上経ったころ、フレッドはスポーツ選手仲間で、将来のビジネスパートナーとなるティビー・ウェグナーから声をかけられました。

ティビーはサウス・ロンドンのレストランでビジネスミーティングを開き、新しいテニス用品のアイデアを売り込んでいました。この段階では試作品に過ぎなかったのですが、その商品はテニスプレイヤーがプレイ中に額の汗を拭けるようにするものでした。ティビーが考案したタオル地の大きなストラップは、その種の商品としては初めてのもので、同じテーブルのスポーツ選手たちからたちまち称賛の声が上がりました。

偶然同じレストランで食事をしていたフレッドには、その商品が気に入りませんでした。テニス界のベストドレッサーとしては(本人の言葉を借りれば)「バスタオルみたいでものすごく重い」ものを使うわけにはいかなかったのです。ウィンブルドンでは手首にガーゼを巻きつけ、流れ落ちる汗でグリップが滑るのを防いでいたことを思い出し、フレッドはウェグナーのアイデアをもとに自分の経験を活かすことにしました。フレッドの3年連続ウィンブルドン優勝は、すべてが自作リストバンドのおかげというわけではありませんが、リストバンドが貢献したことは確かです。

ウェグナーのテキスタイルの経験とフレッドの比類なきテニス経験をもって、二人は一緒に新製品の開発を再開します。数か月後、二人は出来上がった試作品を取りにレスターの工場を訪れました。今度の試作品は、現在広く知られているものと同じ、軽量で柔軟なリストバンドでした。新たにビジネスパートナーとなった二人はかなりの数を発注し、あちこちにプレゼントし始めました。すると、たちまち世界中のトップテニスプレイヤーがリストバンドを身に着けるようになりました。

こうして、現在スポーツウェアブランドとして知られるフレッドペリーが誕生したのです。リストバンドの成功を受け、フレッドはスポーツウェアに手を広げます。機能的でスタイリッシュな製品というフレッドの理念は、常に最先端を走っていました。

実用的なテニスアクセサリーを振り出しに、まごうことなき不朽の英国ブランドへと発展を遂げたフレッドペリー。1952年発表のテニスシャツは今やブランドの中核を担っています。フレッドをインスパイアしたものはブリティッシュ・サブカルチャーに欠かせないアイテムとなり、何世代にもわたってテニスプレイヤー、社会に反発する若者たち、ミュージシャンや映画監督をインスパイアし続け、一周まわってスポーツ選手のインスピレーション源となりました。リストバンドが同じ道をたどったのも必然的な流れなのです。ブランドのレガシーを遡ってみると、このシンプルなテニスアクセサリーはサブカルチャーファッションの定番として、スポーツ界のスターから、ギタリスト、ドラマー、ベーシストに至るまで、こぞって手首に着けるようになっています。今でもその中核をなしているのは、機能性です。

ステージ上のポール・ウェラー。フレッドペリーのシャツとタオル地のリストバンドを着用
 

リストバンドと言えば、なんといってもジョー・ストラマー。後に彼にちなんで「ストラムガード(strum-guard)」と呼ばれるようになったリストバンドは、多くのミュージシャンが献身と不屈の精神の象徴として一度は身に着けるアイテムとなりました。フレッド同様、ストラマーのリストバンドも自作のもの(バンダナがよく使われた)で、ダクトテープが留め具がわり。このリストバンドはフェンダー・テレキャスターを一心不乱にかき鳴らすストラマーの手を守るだけでなく、たちまち彼のシグネチャールックの一部となったのです。

ジェイムズ・ヘットフィールドやポール・ウェラーといった伝説的なミュージシャンも彼らのバージョンのリストバンドを身に着けるようになりました。また、スポーツ選手やミュージシャン、さまざまなサブカルチャーでも、リストバンドは長年にわたり世代を超えて愛用されています。

フレッドペリーの歴史は、リストバンドから始まりました。それは成功と情熱、犠牲と勝利のシンボルであり、心からの献身の証でもあります。

フレッドペリーチャンピオンシップに向けて、全参加者用に限定リストバンドがデザインされました。一つ一つにフレッドペリーのローレルリースのシグネチャー付き。チャンピオンシップの詳細はこちら