ニコラス・デイリー・プレゼンツ: ライブ・アット・100クラブ

サブカルチャー

Nicholas Daley
Presents: Live at
The 100 Club

ニコラス・デイリー・プレゼンツ:
ライブ・アット・100クラブ

Photography by Fabrice Bourgelle
Words by Cal Cashin

活気に満ちた多文化共生と美しい多様性がなければ、ロンドンは無味乾燥だ。何十年もの間、多くの魅力的な音楽ジャンルやスタイルを世に送り出し続けてきたロンドン。その多彩さは、どこに注目すればいいのか分からなくなるほどだ。昨夜、フレッドペリー・サブカルチャーはニコラス・デイリーとタッグを組み、現在ロンドンで興隆するジャズシーンはもとより、幅広い分野からさまざまな声や音楽を紹介。

ナビハ・イクバルがザ・コントーションズの「Contort Yourself」クラブミックスなど、デッキで轟音のセットを繰り広げて場内を大いに沸かせた後、オープニングにジャマイカ出身でブリクストンを拠点とする詩人、リントン・クウェシ・ジョンソンが登場。数々の自作品を回顧する、圧倒的なセットを披露。ジョンソンはステージ正面に陣取って立ち、政治的意味が込められた最初の作品を見事に朗読し終えると「この詩は現代の出来事についてのものであってもおかしくない。1973年の作品であるけれど」と語った。ジョンソンの作品はどれも強烈な主張と鮮やかなイメージを備えたものばかりで、その中には1970~80年代に若い黒人男性として育ったことの恐怖を物語るエピソードが織り交ぜられている。1981年のニュー・クロス大虐殺とブリクストン暴動を取り上げた寓話を語った後、ジョンソンは1990年代の東アフリカと東欧での紛争を取り上げた作品でセットを締めくくった。ジョンソンは終始観客を魅了し、100クラブにつめかけた全員が静まりかえり、彼の一言一句に耳を傾けた。熱狂的な拍手に送られて、この詩人はステージを後にした。

続いては、ユセフ・デイズによるジャズの最新形。ロンドンっ子のデイズはドラムの名手であり、ステージ中央で同じく超絶技巧のベーシストとギタリストに挟まれた彼は、メトロノームさながら。バンドの音楽を例えるなら、サン・ラの「Lanquidity」におけるコズミックなグルーヴのうねりや、マッドリブによるイエスタデイズ・ニュー・クインテットでの、ジャズに寄ったインストゥルメンタルのヒップホップ。キーボードのサウンドはラウンジジャズのゆるさそのものながら、デイズの狂気をも感じさせる豪快なドラミングが、バンドをリードするだけでなくメロディをも生み出し、音楽にさらに重層的な魅力を加える。ときおり、ナイジェリア人シンガーのオボンジャヤールがステージに乗り込んで毒のあるボーカルを加え、デイズと彼のバンドとの刺激的なケミストリーを見せつけた。デイズは神がかったパフォーマーであり、M25の内側に才能あるジャズミュージシャンがひしめいていることの、まさに生きた証拠だ。オボンジャヤールのエネルギーと抑揚のあるボーカルが加わることで、ステージが小さな奇跡の舞台となった。

最後に、この夜のメインイベントとしてもうひとりの名パフォーマー、ギタリストのマンスール・ブラウン・バンドがステージに登場。ロンドンのジャズシーンの一員と分類されることも多いブラウン。それは決しておざなりな分類ではないが、彼こそは、霧の町ロンドンにおけるジャズメンが持つ、驚くべき多様性の生きた証拠だ。ブルースの叫びから、眠りを誘う夢のような情景、さらに時折ファンキーなスケッチまでを行き来するブラウン。昨年リリースのデビューアルバム『Shiroi』からの数曲を演奏し、感情がそのまま伝わるようなギターソロが、オックスフォード通り100番地の地下に聖歌のごとく響き渡った。ブラウンのソロは時として大胆不敵といえるほどだったが、プレイの大部分ではそのあふれる才能と超絶技巧を駆使し、極めて美しいギターサウンドを奏でた。

イベントの締めくくりは、BBCラジオ6ミュージックのパンクとダブの中心人物、ドン・レッツとレゲエ界の大御所、デニス・ボーヴェルによる最高のDJセットで、盛りだくさんなこの夜を見事に体現。レゲエに乗せたジョンソンの詩から、デイズの超エネルギッシュかつ夢のようなラウンジミュージック、マンスール・ブラウンによる幻惑的なブルースまでを盛り込んだ昨夜のイベントは、ロンドンにおける過去・現在・そして未来のブラックミュージックを祝う、美しい一夜となった。