またライブを!

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We Will Gig
Again

またライブを!

Words by Scarlett O’Malley

DJ兼イベント・プロモーターとしては当然、新型コロナウィルスがナイトライフ業界に及ぼした打撃を実感しています。だから英国政府が芸術部門に15.7億ポンドを支援するという最近のニュースに、ようやく希望の兆しが見えた気がします。

以前は少なくとも週に2回はDJをやって、2か月に1回はイベントを開催して、何よりパーティ三昧の日々だったのが、週に2回、家から出るか出ないかの生活に変わりました。

最後のギグは3月14日に93 Feet EastでやったDisco DiscoとBrixton JammのI Feel Loveで、まさにあれが大事なラスト・ダンスだったという感じでした。イギリスではウィルスが蔓延しつつあるから、ライブ会場が開催できるのは今週末が最後だと聞いていたんです。翌朝、二日酔いの頭で考えたのは…これからどうすればいいんだろう?ってことでした。

あの翌日に痛感したのは、会場、特に独立系の小さなライブ会場がいかに自分と切っても切れないかということです。生計はすべてそこから来ていたからです。世界中で4か月以上も閉鎖するなんて、思ってもみなかったし、自分にとって外に出かけられることがどんなに大事だったのかということも実感しました。

「The Soul Exchange」ナイトはウエストロンドンのイベント会場で始まり、イーストロンドンのHorse and Groomで2周年を迎えることになっていたんです。でもイベントが開催できなくなった今、どうやって自分のプラットフォームを維持するか煮詰まってしまいました。そこで今の状況に適応するため、自粛期間中に作ったのが、The Soul Exchangeセット。ソウル・ミュージック、レコード、サブカルチャーに強い関心を持つイギリス中の若手DJにフォーカスしたミックスシリーズです。その過程で生まれた繋がりや反応から、ミュージック・コミュニティの大切さを再認識しました。

今回のミックスシリーズでコラボレーションしたDJの多くは、かつてソウル・シーンを通じて出会った人達です。中でも特に100Clubの 6Ts Rhythm and Soul all-nighters。あそこで知り合った人達の多くは、親友と呼べる存在になっています。

あのオールナイトイベントに7年以上通っていて、最初は母と行き、そのうち1人でも行っていたのが、今では家族ぐるみの付き合いになっています。だから、今年1月にウェストミンスター特別区議会が「事業税を100%免除する」と約束したことで、100Clubが「永久に救われた」ときは、とても嬉しかったです。

サウスハンプトン大学に通っていたころ、Junkというクラブとも同じような関係にありました。毎週土曜の夜に通っていたので、恥ずかしながら警備員やバーのスタッフにも名前を憶えられていたくらいです。でもJunkの場合は、賃貸料の上昇という苦境に対処しきれなかった。こうした場所がなくなってから初めて、人生でどれだけ大きな役割を占めていたかに気付くことが多いのです。

独立系の小さなライブ会場こそ、音楽業界への入り口でした。大学時代にギグ・プロモーターになり、その後イギリス全土の大学を舞台にしたイベントツアーのプロダクションマネージャーになりました。やがてカーディフのClwb Ifor Bach、エディンバラのStudio 24、ブリストルのTheklaといった場所が第二の我が家のようになりました。そうしたクラブでDJをし、パーティ開催のコツを学んだのです。今の自分に繋がるスタート地点です。この業界のあらゆる方面で仕事している人達も、多くは似たような経緯を辿っています。

現実が戻って来つつある今、ナイトライフの新たな夜明けが見えています。私はThe Brixton Courtyardのソーシャルディスタンスを保ったイベントで、ノーマン・ジェイの前座のブッキングが入っているし、InstagramやWhatsappではあちこちで違法レイヴについてのメッセージが入ってきます。中には、参加者が数千人になりそうだということで、開催前日に中止になったイベントもありました。毎日、新しい形でのパーティのあり方を考えているんです。これはアート業界がようやく政府から然るべき支援を受けられるようになったと知って安心な今、とてもエキサイティングな状況です。

インディペンデント・ミュージック・コミュニティにも、ライブの重要性やロックダウン中のミュージシャンたちの活動、今後への期待などについて感じたことを伝えました。

地域密着型のライブハウスやフェスのおかげで新しいオーディエンスが発掘できたし、小規模なライブによる収入で録音してリリースしてきた。ライブ・パフォーマンスにしてもスタジオ録音にしても、地域密着型のライブハウスは私達の活動に欠かせないよ。できるだけ早く安全な形で、1つでも多くの会場が再開できることを願ってる。そしてみんなが必要以上にライブに飢えずに済むことも。この状況が終わったら、あらゆる問題を一緒に踊り飛ばしちゃおう!
Kioko

地域密着型のライブハウスがなかったら、So Young Magazineも存在していない、と言っても間違いないだろう。我々はいつも新しくてエキサイティングなアーティストやバンドを応援したいと思ってきた。彼らの多くはまだ正式なシングルもリリースしていなかったり、初ツアーも体験していないような連中なんだ。つまり各地のかけがえのない小さなライブハウスで話題になってきたアーティストたちであり、彼らがいるからこそ、ステージで生まれる素晴らしいサウンドについて語ろうという気持ちになるんだよ。
Sam Ford from So Young magazine

ロックダウン期間中、Bandcamp用の16曲入りコンピレーションを制作したんだ。Fontaines DCやBlack MIDI などのビッグネーム、The RebelやScotti Brainといったカルト的スター、PaddywakやFolly Groupのような新人をフィーチャーしたもの。売上はライブハウスの維持とBrixton Soup Kitchenで均等に配分したよ。Tシャツやトートバッグなど、衣類の販売も開始した。今は新しいデザインを考案中なんだ。
Tim Perry from Windmill Brixton

Green Door Storeでの大きなハイライトは、2018年の7周年記念で、Crows、Hotel Lux、Madonnatron、LICE、Desire、GURUが出演したこと。音楽が素晴らしかっただけでなく、オーディエンスもとにかく最高の雰囲気だった。それぞれのライブ・セットを思いきり楽しんでいたし、セットの合間もみんなで盛り上がっていたよ。ああいうギグがあると、ライブハウスで働くことが世界一の仕事だなって思えるんだ。今年のクリスマスまでには、またライブを再開できるといいなって思っているけど、それが叶わなかった場合、来年にはライブがこれまで以上に大きく、より良いものになって戻ってきて、ライブハウスへの本格的なサポートと評価が得られることを願っている。
Toni Coe of the Green Door Store

ロックダウン中にWindmill Brixtonでオンラインのチャリティ/ 募金ギグに参加したんだ。Tiña、PVA、Teleman、Kate Tempestなど素晴らしいアクト揃いのギグ。Twitchでストリーミングしながら、Zoomでもプラットフォームを立ち上げてソーシャル面をカバーしたんだ。実際のライブハウスみたいにバーチャル上でもエリア(トイレまで含めてね!)を分けて、バンドが演奏してる間は友達とチャットができるようにしたんだ。実に楽しかったよ。多分、リアルな体験に限りなく近いものだったんじゃないかな。ま、翌日は二日酔いに近いものがあったけどね。
Pierre Hall from Speedy Wunderground

こじんまりしたギグならではの繋がりをまた見れて、地元から知られざる最高の音楽が続々と出てくることを心待ちにしているよ。音楽コミュニティが今以上にしっかりしてバランスの取れた公正なものになることを願っている。音楽業界には新型コロナウイルス感染症だけでなく、取り組むべき問題が今までもたくさんあったから、これをきっかけに、また新たなスタートができればいいと思う。
Ian Crawford, Booker in Glasgow

Music Venue Trust

2014年に設立されたMusic Venue Trustは、英国の地元密着型の小さな音楽活動の場の保護、保証、向上を目的とした公認慈善団体です。英国全土にある800か所のライブハウスを代理して活動し、セクター支援、ロビー活動、資金調達、ネットワークの構築、危機支援サービスを提供しています。独立系のライブ会場とそこで育っていくアーティストとの重要な関係性に重点を置き、愛すべき地元のライブ会場や新進アーティストの未来を守るため、たゆまぬ努力を続けています。Music Venue Trustの活動はこれまで以上に求められています。

フレッドペリーは営業再開した英国内店舗における初月の純売上高の5%を、Music Venue Trustに寄付しました。これがフレッドペリーとMusic Venue Trustとの長期的な繋がりの第一歩となることを願ってやみません。

musicvenuetrust.com
saveourvenues.co.uk