家族のリンク

フレッドペリー x ル・キルト

Keeping
it in the
family

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2019年3月

ファッションとカウンターカルチャーは切っても切れない間柄。ル・キルトとのコラボレーションによるカプセルコレクション第2弾がその証明です。

スタイルの無いサブカルチャーなどあり得ない – ロンドンを拠点とするファッションデザイナー、サマンサ・マッコーチ(Samantha McCoach)はそう語ります。ロイヤル・カレッジ・オブ・アートを卒業後、2014年に自身のブランド「ル・キルト(Le Kilt)」を立ち上げたマッコーチ。ブランドのインスピレーション源は、エディンバラのロイヤルマイルで40年以上キルト職人を務めたイタリア人の祖母が、彼女に作ってくれたブラックキルトです。また、音楽を必要としないサブカルチャーもおそらく存在しないでしょう。ル・キルトという名前が、1980年代前半にソーホーのグリークストリートを席巻したポストパンクのクラブに由来する、ということからもわかるように、アンダーグラウンド精神へのクールかつ簡潔なオマージュこそ、マッコーチを当初から突き動かしてきたものでした。構想から数年、スコットランドの伝統的なクラフトマンシップに現代的なコンセプトやスタイル、配色を融合させたル・キルトは、すでにメジャーな存在となっています。しかし、古いものと新しいものを融合させて作り上げてきた進歩的なアイテム達には、今も変わらず抵抗と反発が織り込まれているのです。

これらの要素すべてにより、ル・キルトはフレッドペリーのコラボレーション相手の最有力候補となりました。フレッドペリーも、ブランド名の由来である創業者が着たティップライン入りポロシャツの胸元を、トレードマークであるローレルリースが飾った1952年以来、テニスコートからストリートに飛び出し、様々なスタイルの血肉となってきました。両ブランドの共通点はそれだけではありません。両ブランドの製品そのものもある種のヘリテージを共有しています。「そこがル・キルトとフレッドペリーのコラボレーションのポイントです」とマッコーチ。「キルトは、バックルがついたテニススカートみたいでしょう?」と説明しています。

そのシグネチャーアイテムは、コラボレーション第2弾となる今回のコレクションにも登場しています。ショート丈のテニススカートに、フレッドペリーのアーカイブに眠るアイテムからインスパイアされた、トラディショナルなモノトーンのモッドスコットタータンをあしらうことで、2つのブランドのスピリットを融合させました。「細かいチェック柄は、すごくフェミニンに見えるはずです」とマッコーチは続けます。「横に傾けることで、60年代風ハウンドトゥースのようにも見えます」

今回のコレクションでは、トラックジャケットとポロシャツのボタンやボタンホールに、コントラストを強調した糸であえて露出させたステッチをあしらいました。これは、ル・キルトのDNAに不可欠な要素として刻まれている、改変と再構築というコンセプトを、第1弾のコレクションから引き続き落とし込んだものです。「フレッドペリーのポロシャツといえば、ツインティップや襟のように、それだけでもフレッドペリーと分かります。それらを取り入れるという事はつまり、1つのユニフォームを取り入れるという事になるのです」とマッコーチは言います。しかも、既にアイコニックな存在として確立しているのに、さらにアレンジを受け入れる包容力がある、というところに本物の力が感じられるとマッコーチは続けます。「真っ白なキャンバスみたいなものです。誰でも自分なりの着こなしができる」

ル・キルトのスピリットを注入されたフレッドペリーのアイテムは、再構築のお手本 – つまり、受け継がれ、再構築され、何かを加えられるべき定番となるのです、とマッコーチは言います。「どのようにも着こなせるものを提供するという事です」

マッコーチは長い間、クラシックな要素を新しいものと取り換えるのではなく、クラシックに変化をつけることに挑戦してきました。また、2人の妹たちを通して昔ながらのアイディアに現代的なアレンジが加えられていく様子を直接見てきました。18歳のコニーと19歳のタラはエディンバラに住んでおり、2人ともマッコーチ自身とは全くスタイルが異なるものの、核となる思想はとても似ていると言います。「妹たちがどんな服をどんなふうに着ているか、どんな音楽を聴いて、どんなライブに行っているのか、あるいはどんなレイブに行っているのか。それを見ているが面白いのです。2人ともある意味、自分なりのサブカルチャーを創造しています。いろんなものがごちゃまぜになっていて、とても刺激的です」

コニーとタラにとっての服飾文化とは、おおむね服の貸し借りと手持ちの服のアレンジに尽きます。「たくさんの服を友だちとシェアしています」とタラは言います。仲間内でも、着る人が変われば同じ服でも全然違う着こなしになります。「タラや私と同じものを着る友だちが最低1人はいます」とコニーが続けます。「そこでアクセサリーを変えたりして、ちょっと変化をつける訳です」

シェアされた服は新たな生命を与えられます。そして、マッコーチが青春時代になじんだものが、コニーとタラの中にも芽生えています。それは音楽が持つテイスト、そしてスタイルです。「何がすごいって、妹たちが聴いてるダンスミュージックが、昔の曲をサンプリングしてると分かった事です」とマッコーチは説明します。「私の若い頃にもまったく同じことがありました。その頃はクラシックなソウルミュージックをよく聴いていましたが、それは母が昔よく聴いていたものでした。あのときは『あら!これがお手本だったのね!』というて感じでしたが」

3世代の女性たちがスタイルを共有し、サウンドトラックを共有する、これこそがサブカルチャーというものかもしれません。それぞれに自分だけの得意分野がありますが、マッコーチの結論は、「結局、根っこは同じってことね」というものでした。

文:Maisie Skidmore