プリムソールに捧げる賛辞

SUBCULTURE

An Ode
to the
Plimsoll

プリムソールに捧げる賛辞

Words by Tayler Willson
2020年6月

プリムソール、ダップ、ガッティー、パンプなど、実に多様な愛称を持つシューズだが、これほど数多くのサブカルチャーについてさまざまな記憶を呼び起こすものは他にあるまい。2000年代半ばの汗ばんだインディーズクラブシーンから学校の体育館まで、プリムソールはありとあらゆるものを見届けてきた。

どのようなコーディネートにもいとも簡単にマッチさせることができるプリムソール。フットウェア界において見過ごされがちな存在であるが、夏は涼しく、冬には心強い特徴的なキャンバス地のアッパーとバルカナイズ加工を施したラバーソールから、究極のオールラウンダーとなっている。誕生して200年近くの時が流れ、「スニーカー」や派手なファッションが持て囃される昨今でも廃れていないのは、その揺るぎない地位の現れだろう。

プリムソールは、そもそもは1830年代にビーチウェアとして開発され「サンドシュー」と呼ばれていたもの。その根幹となるデザインは、当初からほぼ変わっていない。クラシックスタイルから多少のバリエーションが派生してきたものの、その美しさと魅力は、常にそのシンプルさの中にある。

カジュアルシューズのデザインが進化を続ける中、プリムソールは余計な装飾や仰々しいスポーツテクノロジーを一切受け付けず、確固たるミニマリストとしての立場を堅持している。時代を超えて、これほどのサブカルチャーから愛されている所以は、こうしたless-is-more、すなわち少ないほうが豊かであるというアプローチなのだ。どのようなコーディネートにも合うということは、エフォートレスかつイージーであるということ。2000年代にプリムソールとスキニーパンツを穿いたインディーズ少年少女も、シューズにモッズコートをマッチさせた90年代のブリットポップファンも、体育の準備を忘れてスラックスと落し物のプリムソールで授業を受けた子も、英国中のテニスファンも、すべてのプリムソールに物語が刻まれている。

フレッドペリーのシャツをシューズに当てはめるなら、プリムソールの「Kingston」だ。アウトソールとタンにおなじみのカラーを配した2本線をあしらい、フレッドペリーのシャツと同じDNAで生まれたクラシックなキャンバスシューズ。リラックスしたラフなスタイリングで、テニス選手ではなく観客のために作られ、コートの中と外の橋渡しをする存在。

そのシンプルさ、ミニマリズム、エフォートレスな本質から、プリムソールはこれからもずっと、世界中のサブカルチャーから愛されていくことだろう。今、ここに新たな祝福を捧げたい。