エイミーズ・プレイス

エイミー・ワインハウス財団

Amy's
Place

エイミーズ・プレイス

2019年1月
ロンドン

エイミー・ワインハウス財団(The Amy Winehouse Foundation)は、ドラッグやアルコールの乱用による影響から若者を守るため、エイミー・ワインハウスの遺族により7年前に設立されました。エイミーズ・プレイスは、依存症から克服する過程にある若い女性のためのリカバリー施設です。

イギリスではこのようなチャリティ団体が少なく、財団の取組みには極めて重要な意義があります。こうしたことから、フレッドペリーでは同財団が取組みを続けられるよう継続的に支援し、シーズンごとに寄付を行っています。

財団の活動とエイミーズ・プレイスで提供されている生活を変えるためのサポートについて、エイミーズ・プレイスの入所者、メリッサさんに話を聞きました。以下はメリッサさんのストーリーです。

「あるソーシャルワーカーが、日本には割れた花瓶を金で継ぎ合わせる文化があることを教えてくれました。壊れたことで美しくなる。私は、毎日この話を思い返しています。私の身に起きたすべての事が、私を以前より思いやりのある人間にしてくれました。そして、私を私にしてくれたのもそういった経験です。

リカバリーに入る前は、それが何か、どんなものなのか知りませんでした。リカバリーとは、簡単に言えば、薬物やアルコールなしで生きていく術を学び、より健康で幸せな自分自身に立ち返ることです。エイミーズ・プレイスは、リカバリー施設です。ここでは18歳から30歳の女性たちが自分専用の快適な住まいで、健康と幸せを取り戻せるのです。

エイミーズ・プレイスに来る前は、ウィルトシャーの治療施設に6週間入っていました。再発の可能性があるまま家に戻るか、回復に専念するかの選択に迫られたとき、私はカムデンの第2ステージ向けリカバリー施設行きに賭けることにしました。そこでエイミー・ワインハウス財団からエイミーズ・プレイスを紹介され、2018年1月からここで暮らしています。

それまで私は自身の住まいを持ったことがなかったので、とても幸運なことだと思っています。リカバリー施設に行かなければいけない状態である、という事は、かなりの苦しみやトラウマをくぐり抜けて来たという事です。リカバリーの前には、大きな闇があるのです。でも今ではあのどん底すら、人生の贈り物だと思っています。

エイミーズ・プレイスのいいところは、自立と支援のバランスがとれているところです。ここでは自分専用の玄関があり、鍵も自分専用です。ガス代や電気代、税金も払っています。そしてお酒と無縁の生活を送る術を学んでいます。ここで働くスタッフも全員がリカバリー中です。これってすごいことですよね。ここには本当の信頼関係、本当のコミュニティがあると思います。

この施設では、あらゆるものに有機的な繋がりがあると感じています。エイミーの家族も、いつも見守ってくれます。私は今年大きな手術を受けたのですが、入院中にはジェーン・ワインハウスからEメールをもらいました。忘れてしまいがちなことですが、ワインハウス家の人々は自身も娘を亡くし、他の家族が娘を取り戻そうとする手助けをしようと決意した人々なのです。その献身ぶりは本当に感動的で、私は財団からのサポートに一生感謝し続けるでしょう。

私自身は、悲劇のヒロインではありません。それに、依存症にまつわる誤解も多いと思います。私は普通の家庭で育った普通の子です。こうなって分かったのは、依存症は人を選ばないということです。私は大学の成績も良かったですし、仕事も順調でした。ただ、そこに幸せを見出せなかったのです。2012年にクローン病と診断された時、そのことに正面から向き合えませんでした。何に対しても興味が持てず、精神状態も悪化しました。そうして、私はお酒を飲み始めたのです。しばらくは効果があったのですが、知らず知らずのうち、楽しくなるためにお酒、落ち着くためにお酒、一日をやり過ごすためにお酒、という風になり、オーブンで何かを焦がしたことすら言い訳にしてお酒を飲むようになっていきます。遂には完全にお酒に依存し、コントロールが効かなくなってしまうのです。

私の母はすごい人です。母は決して私を放り出したり、見限ったりしませんでした。これまでに断酒の誓いを立てたとき、私はいつも本気で、本当にそうしようと思っていました。でも、できなかったんです。

リカバリー中のアルコール依存症者となったことで、私の人生から奪われたものは何もありません。私はこの経験から、忍耐と打たれ強さ、諦めと受容を学びました。そのことを喜ばしいと思うのが大切だと考えています。

「リカバリーというものがもっと見えて来るようになれば、サポートを求める人も増えていくでしょう。依存症に対しては、批判よりも、思いやりが特に必要です」

今年学んだ最も重要なことは、自分を愛し、自分に優しくしてあげることです。リカバリーの過程では自分自身を見つめ、深く掘り下げる必要があります。負けを認めて謙虚になり、助けを求めるとともに、間違いを認めることです。私はこれらすべてをエイミーズ・プレイスで学びました。私はこの学びをずっと忘れません。家族は私のすべてであり、家族も私を誇りに思ってくれています。リカバリーがくれた一番大きな贈り物は、母が心の平安を取り戻せたことです。古い知り合いともまた連絡を取りあうようになり、自分の体験を話し、私がどこにいたのか、なぜ「消息不明」になったのか、包み隠さず伝えました。みんな昔と変わらず、とても親切に手を差し伸べてくれて、ありのままの私を愛してくれています。私も心から彼らを愛しています。」

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